大阪人は、イラチである。
イラチというのは、早い話がせっかちのことで、特に中小零細企業の社長や営業担当は、会社が自転車操業であることも多いから、仕事の発注、納期、納品、そして資金繰りに至るまで、考えると、じっとしていられないのだろう。とにかく1年じゅう、セカセカ、イライラ、ウロウロしている。
私が若いことに勤めていたのも、そんな零細企業だったから、納期や資金繰りのことを考えて、じっとしていられない社長の気持ちは、何となく判る。
判るが、しかし。やはり、物事には限度というモノもあるのだ。
私の勤務先の営業開始は、午前9時からだった。社員の出勤は、繁忙期を除けば、だいたい8時40分頃からだったが、掃除当番なるものがあって、その当番に当たった社員だけは、8時すぎには出社していた。
床を掃いたり、デスクを拭いたり、お茶用のお湯を沸かしたり、と、掃除当番はけっこう忙しい。嗚呼、それなのに、それなのに。その、バタバタと忙しい時に限って電話が鳴るのである。
鳴る時刻はだいたい、8時半すぎ。もちろん、うちの会社は、まだ営業開始前の時間であって、掃除当番以外は、誰も出社していない。営業開始前なんだから、電話が鳴ろうが得意先が吼えようが、放っておけばよさそうなものだが、そこは、お互い自転車操業の零細企業の悲しさ。どんな注文が入ってくるか判らないから、一応、電話に出ないわけにはいかず、雑巾片手に受話器をとるしかない。
「はい、おはようございます、〇〇出版でございます」
「あ~~~、△△印刷やけど、社長はん、来てはる?」
「申し訳ありません。うちは9時からなので、まだ来ておりません」
「あ、そう。うちの始業は8時半やから、電話したんやけど、まだ来てない?」
………アンタんとこの始業時間のことなんか、知らんわっ! うちは9時からやと言うとろうが!
資金繰りその他で頭がいっぱいの社長はんたちは、自分(の会社)の都合のことしか考えてないので、この手の電話は日常茶飯事。自分の会社の始業時間に合わせて、うちの社長や営業担当も、早めに出勤してくるもんだと思い込んでるのか、このおっさんは!
そう怒鳴りたいのを、ググッとこらえて、
「社長に御用でしたら、9時前には出社してると思いますが………」
「あ、そう。ほな、社長はんが来はったら、うちに一番に電話するよう言うといてや!」
ガチャン。
こんな電話が、8時半から8時45分までの15分間に、月末近しともなると、3~4件かかってきたりする。仕方ないので、とにかく電話がかかってきた順に、メモをとって社長に報告。
「△△印刷さん、□□出版さん、××出版さん、皆さん全員、自分とこに一番に電話してくれって、言うてはりましたけど、どないしはります?」
かくて、うちの社長は出社と同時に、その朝「一番」の電話を、数件にわたってかける羽目になるのである。皆さん、自分のところにかかってきたのが、ホンマに一番最初だと信じてたんだろうか?
しかし、こんなのは、まだいい(あまりよくないが)。
某同僚は、掃除当番の時、やっぱり8時半すぎに電話が鳴ったので仕方なく出てみたら、案の定、得意先から、社長か営業担当はいないか、との電話。
彼女は電話応対が苦手で、その上、掃除中でイラついてたので、思わず、
「まだ始業前なんで、会社には誰も来ておりませんっっっ!」
と、叫んでしまった。
それを聞いた先方曰く、
「会社には誰も来てないって、ほな、今、電話に出てるアンタは、誰やっ?」
………同僚は、右手に受話器、左手に雑巾をつかんで、ふるふると震えながら、いっそこのまま受話器を叩きつけるか、さもなければ、
「はい~~~、実は私、幽霊社員なんです~~~。うらめしや~~~」
とでも言ってやろうか、と、マジで数秒間、真剣に考えたらしい。
考えた末、どちらも実行には至らなかったので、すべては平和裏のうちに終わったけれど。受話器を叩きつけるのは論外としても、ここは一応、大阪なんやから、「幽霊社員どすえ~~~」ぐらいは言ってやりゃ~よかったのに、と、今でも思うことがある私だった。
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イラチというのは、早い話がせっかちのことで、特に中小零細企業の社長や営業担当は、会社が自転車操業であることも多いから、仕事の発注、納期、納品、そして資金繰りに至るまで、考えると、じっとしていられないのだろう。とにかく1年じゅう、セカセカ、イライラ、ウロウロしている。
私が若いことに勤めていたのも、そんな零細企業だったから、納期や資金繰りのことを考えて、じっとしていられない社長の気持ちは、何となく判る。
判るが、しかし。やはり、物事には限度というモノもあるのだ。
私の勤務先の営業開始は、午前9時からだった。社員の出勤は、繁忙期を除けば、だいたい8時40分頃からだったが、掃除当番なるものがあって、その当番に当たった社員だけは、8時すぎには出社していた。
床を掃いたり、デスクを拭いたり、お茶用のお湯を沸かしたり、と、掃除当番はけっこう忙しい。嗚呼、それなのに、それなのに。その、バタバタと忙しい時に限って電話が鳴るのである。
鳴る時刻はだいたい、8時半すぎ。もちろん、うちの会社は、まだ営業開始前の時間であって、掃除当番以外は、誰も出社していない。営業開始前なんだから、電話が鳴ろうが得意先が吼えようが、放っておけばよさそうなものだが、そこは、お互い自転車操業の零細企業の悲しさ。どんな注文が入ってくるか判らないから、一応、電話に出ないわけにはいかず、雑巾片手に受話器をとるしかない。
「はい、おはようございます、〇〇出版でございます」
「あ~~~、△△印刷やけど、社長はん、来てはる?」
「申し訳ありません。うちは9時からなので、まだ来ておりません」
「あ、そう。うちの始業は8時半やから、電話したんやけど、まだ来てない?」
………アンタんとこの始業時間のことなんか、知らんわっ! うちは9時からやと言うとろうが!
資金繰りその他で頭がいっぱいの社長はんたちは、自分(の会社)の都合のことしか考えてないので、この手の電話は日常茶飯事。自分の会社の始業時間に合わせて、うちの社長や営業担当も、早めに出勤してくるもんだと思い込んでるのか、このおっさんは!
そう怒鳴りたいのを、ググッとこらえて、
「社長に御用でしたら、9時前には出社してると思いますが………」
「あ、そう。ほな、社長はんが来はったら、うちに一番に電話するよう言うといてや!」
ガチャン。
こんな電話が、8時半から8時45分までの15分間に、月末近しともなると、3~4件かかってきたりする。仕方ないので、とにかく電話がかかってきた順に、メモをとって社長に報告。
「△△印刷さん、□□出版さん、××出版さん、皆さん全員、自分とこに一番に電話してくれって、言うてはりましたけど、どないしはります?」
かくて、うちの社長は出社と同時に、その朝「一番」の電話を、数件にわたってかける羽目になるのである。皆さん、自分のところにかかってきたのが、ホンマに一番最初だと信じてたんだろうか?
しかし、こんなのは、まだいい(あまりよくないが)。
某同僚は、掃除当番の時、やっぱり8時半すぎに電話が鳴ったので仕方なく出てみたら、案の定、得意先から、社長か営業担当はいないか、との電話。
彼女は電話応対が苦手で、その上、掃除中でイラついてたので、思わず、
「まだ始業前なんで、会社には誰も来ておりませんっっっ!」
と、叫んでしまった。
それを聞いた先方曰く、
「会社には誰も来てないって、ほな、今、電話に出てるアンタは、誰やっ?」
………同僚は、右手に受話器、左手に雑巾をつかんで、ふるふると震えながら、いっそこのまま受話器を叩きつけるか、さもなければ、
「はい~~~、実は私、幽霊社員なんです~~~。うらめしや~~~」
とでも言ってやろうか、と、マジで数秒間、真剣に考えたらしい。
考えた末、どちらも実行には至らなかったので、すべては平和裏のうちに終わったけれど。受話器を叩きつけるのは論外としても、ここは一応、大阪なんやから、「幽霊社員どすえ~~~」ぐらいは言ってやりゃ~よかったのに、と、今でも思うことがある私だった。
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